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第四回 日本サウナ学会研究奨励賞

1,結果発表

学術大賞

研究課題名

『酵素風呂への入酵はヒトの身体にどのような反応を引き起こすのか?』

吉岡 直樹,藤井 廉,中村 太地,立石 貴樹,田中 慎一郎

奨励賞

研究課題名 『本場フィンランドのサウナ体験を日本で再現する:建築的アプローチと文化的融合』

高山成寿/北川慶一

研究課題名 『30分で実現する至福のサウナ体験:忙しい現代人のための『時短サウナ』の効果と検証』

花木祥二朗

研究課題名 『アンケートから見えた潜在的なサウナー達がサウナに行かなかった理由の考察とその対応策の提案』

渋谷優斗

*略敬称

 

2. 審査にあたってのコメント

学術大賞

本研究はフィンランド式サウナと酵素風呂の併用による新たな健康促進効果の可能性を科学的に検証し、末梢循環の血流促進や腰背部の痛み軽減、さらには睡眠障害の改善に寄与することを明らかにしました 。本研究は、地域資源を活用した米糠を用いた酵素浴を組み合わせており、地域活性化にも貢献しています。特に地方における健康観光の促進を目指し、地域住民の健康向上だけでなく、国内外からの観光客誘致による地方創生の一翼を担っています。学術的・社会的に高い意義を持つ成果であり満票での受賞となりました。

奨励賞

高山氏北川氏による『本場フィンランドのサウナ体験を日本で再現する:建築的アプローチと文化的融合』では、サウナの本場フィンランドのサウナ体験を日本で再現するために、建築的アプローチと文化的融合を巧みに取り入れたことが高く評価されました。フィンランド式サウナの伝統的な要素を尊重しつつ、日本の風土や文化に調和した独自のデザインを提案することで、サウナの魅力を新たな形で提供しました。この取り組みは、フィンランド式サウナの深い理解に基づく学術的な価値を持ち、サウナ文化の発展に貢献した点で顕著です。

花木氏による『30分で実現する至福のサウナ体験:忙しい現代人のための『時短サウナ』の効果と検証』では、忙しい現代人向けに短時間で「ととのう」ことができる『時短サウナ』プログラムを考案し、その有効性を科学的に検証した点が評価されました 。通常のサウナ入浴に比べて30分以内の短時間で心身のリフレッシュ効果を得られる方法を実証し、多忙なライフスタイルを持つ人々にサウナの恩恵を享受できる新たな手段が評価されました。

渋谷優斗氏による『アンケートから見えた潜在的なサウナー達がサウナに行かなかった理由の考察とその対応策の提案』では、サウナ初心者や潜在的なサウナーがサウナに行かない理由を調査し、それに基づく対応策を提案した点で高く評価されました 。特に、サウナ室の入りにくさや施設のルールに対する抵抗感を克服するために、サウナ初心者を識別できる工夫や、サウナ施設を「瞑想サウナ」と「コミュニティサウナ」に分けるという具体的な提案を行い、サウナ人口の拡大に貢献することが期待されます。

3. 論文内容について

2024年11月10日に開催する日本サウナ学会学術総会2024(於: 東京都))にて学術大賞受賞者による発表を予定しています。

学術総会後、受賞対象論文は「The Japanese Journal of Sauna 2024」として日本サウナ学会ホームページに全文掲載する予定です。

最後に

本年も、多くの研究が幅広いテーマを取り上げ、参加者の多様なバックグラウンドが見られました。サウナの健康効果だけでなく、サウナを取り巻くさまざまな側面に対する関心が高まりつつあることを強く感じています。特に、サウナ初心者や潜在的サウナーに焦点を当てた研究が増加し、サウナ文化のさらなる発展に寄与する貴重な知見が得られました。今後も、サウナと社会全体とのつながりに焦点を当てた研究の進展を大いに期待しています。