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第1回日本サウナ学会奨励賞

1,結果発表

学術大賞

『骨構成細胞における温度感受性遺伝子群の発現』

塚崎雅之氏, 石田充輝氏

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文化大賞

『日本サウナ史』

草彅洋平氏

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奨励賞

症例報告 『サウナ性紫斑の2例』

小林依子氏

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研究課題名 『サウナ浴が抑うつ・ストレスに及ぼす影響について』

河邊眞好氏

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研究課題名 『極限環境下の高精度生理解析モデルの開発 』

八戸高専古川研究室

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研究課題名 『信頼性・透明性のある調査手法による人気のサウナ施設ランキング 』

岡田譲二氏

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2. 審査にあたってのコメント

学術大賞

サウナ習慣者に稀に発症することが知られている外耳道外骨腫について、分子生物学的手法を用いて解析し考察した論文である。外耳道外骨腫は高温、冷水反復刺激が誘因であると考えられており、本研究はそのメカニズムについて解析・考察したものであり、多くのサウナ愛好家にとって大きな意義のある内容であるとともに、今後のサウナ研究における模範となる学術的検討であるため学術大賞として賞するに値する。

文化大賞

日本におけるサウナの歴史について多くの通説があるが信憑性は高くないものが多い。本研究は過去の日本のサウナにおける文献を調査し情報源を公開しているため信憑性が高く、また草彅氏の鋭い視点による考察とサウナに対する愛情が感じられる。日本におけるサウナ史において欠かすことのできない重要な報告であるため文化大賞として賞するに値する。

奨励賞

 全体として大賞と甲乙付け難い良い研究報告が多く審査には大変苦慮した。

 小林依子氏による『サウナ性紫斑の2例』は「あまみ」と称される皮膚の一時的な色調の変化についての報告である。昨今のサウナブームにより過度なサウナ浴により逆に健康を害してしまう事象が生じていることの警鐘であり適切なサウナ浴の重要性を再認識させられる内容である。

 河邊眞好氏による『サウナ浴が抑うつ・ストレスに及ぼす影響について』はサウナが精神に与える影響について解析し報告したものである。多くのサウナ愛好家が興味を持っている内容であるとともに、メンタルダウンの防止は社会における大きな社会課題であり、サウナがこれを部分的であるにせよ貢献できることを示唆しており大変重要な内容である。対象症例数が少ないため今後症例の集積が期待される。

 八戸高専古川研究室による『極限環境下の高精度生理解析モデルの開発』は熱力学的手法を用いてサウナという極限環境下における生体の変化を予測するモデル研究した内容である。サウナは非常に高温であり極限環境であるがゆえ、健康を害する事故を完全に予防することは非常に困難である。本研究ではモデルの完成には至っていないが、今後、サウナにおける高温事故の予防に寄与することが期待される。

 岡田譲二氏による『信頼性・透明性のある調査手法による人気サウナ施設のランキング』は多くの団体や雑誌、メディア等から発表されている人気サウナ施設のランキングの解析を行ったものである。ランキングは多くの人々の興味を引きサウナ界を盛り上げることに寄与している反面、恣意的なランキングによる集客はサウナ浴の本質的な進歩を妨げる可能性があるため公平性の担保は非常に重要である。本研究はランキングに対する問題提起と今後の進べき方向性の観点において意義のある内容であり、今後、公平性のある本質的なランキングに繋がることが期待される。

3. 論文内容について

今年度オンライン開催する予定の学術総会にて受賞者による発表を予定している。

総会後、総会時講演の動画および文字をまとめて、今年度創刊する予定である「The Japanese Journal of Sauna」として掲載する予定である。

4. お詫び

審査結果の発表が遅れてしまい申し訳ありませんでした。

多岐にわたる専門性を有しマニアックな報告ばかりだったため、精読することが難しく審査に時間を要したことが原因です。

最後に

今回は多くの意義深いサウナに関する報告が寄せられ、サウナ愛好家の皆さんの熱の高まりを感じる内容でした。

今後、さらにマニアックなサウナ研究が進むことを願っております。